こんにちは、なおちぷです。
映画『シェイプ・オブ・ウォーター』を観たので感想などを書いてみます。
監督『ギレルモ・デル・トロ』監督は『ミミック』『『パンズ・ラビリンス』『パシフィック・リム』を撮った監督で結構好きなんです。
本作は『第74回ヴェネツィア国際映画祭』の『金獅子賞』及び、『第90回アカデミー賞』で
『作品賞』を含む4部門で受賞している作品です。良い作品である事は間違いないですが、
何が人を惹きつけ評価に至るのか検証してみます。
ストーリー
1962年の冷戦下のアメリカ。発話障害の女性であるイライザは映画館の上にあるアパートでただ独りで暮らし、機密機関「航空宇宙研究センター」で清掃員として働いている。アパートの隣人であるゲイのジャイルズ、仕事場の同僚で不器用なイライザを気遣ってくれるアフリカ系女性のゼルダに支えられ、平穏な毎日を送りながらも、彼女は恋人のない孤独な思いを常に抱えている。
そんな日々のなか、宇宙センターに新メンバーのホフステトラー博士が一体の生物の入ったタンクを運び込む。普段はイライザに不遜な対応を見せる軍人ストリックランドが、生物を邪険に扱った報復を受けて指を失う騒ぎがあり、清掃のために部屋に入ったイライザは初めてその生物を直視する。生物は「半魚人」と呼べる異形の存在だったが、独特の凛々しさと気品を秘めた容貌をもち、イライザの心を揺り動かす。彼女は生物に好物のゆで卵を提供し、手話を教えて意思の疎通をはかる。ふたりは親密な関係となってゆく。
生物が運ばれてきた理由がやがて明らかになってゆく。アマゾンの奥地で神として現地人の崇拝を受けていたという生物を、ホフステトラーは人間に代わる宇宙飛行士としてロケットに乗せようと提案する。それに対しストリックランドは、生体解剖でこの生物の秘密を明らかにすべしと主張し、上官の同意を得る。これを知り動揺したイライザは、ジャイルズやゼルダに自らの思いを打ち明け、生物を救うために手を貸してほしいと懇願する。一方ソ連のスパイだったホフステトラーは、アメリカが生物の秘密を知って宇宙開発の優位に立つ前に、生物を殺すよう政府に命じられる。だがホフステトラーは貴重な生物を殺すことに反対する。
イライザはジャイルズ、ゼルダ、ホフステトラーの協力を得て宇宙センターより生物を救出し、雨で増水した日に彼を運河から水中に返す計画を立てる。そしてその日まで彼女は、生物を自分のアパートに隠して暮らす。他方、ホフステトラーは命令不服従によりソ連スパイに撃たれ、その後ストリックランドから拷問を受けて絶命する。ストリックランドはホフステトラーの最期の言葉から、ゼルダとイライザが救出を実行したと知る。
ゼルダの家へ向かい彼女を尋問するストリックランドに、ゼルダの夫はイライザが関わっていることをバラしてしまう。ストリックランドはイライザの家を目指し、彼女の身の危険を感じたゼルダは電話で逃亡を指示する。
イライザとジャイルズは生物を運河の水門に連れてゆき、別れを告げる。その時、後から追ってきたストリックランドが生物とイライザに向けて発砲する。イライザは意識を失うが、一命を取り留めた生物はストリックランドを倒すと、イライザを抱え海に飛び込む。
生物の驚異的な治癒能力で蘇生したイライザは、彼と共に海の中で幸せに暮らしてゆく。
感想と考察
登場人物のほとんどが満たされていない人ばかり。
主人公と呼べる『イライザ』は恋人もおらず寂しい日々を過ごしているが、
登場人物のほとんどが『満たされていない』設定だ。
隣人のゲイの『ジャイルズ』もマイノリティでイラストを描く仕事も順調ではなく会社勤めをする事も出来ない、
言わば『社会』からの評価を得られていない状況だし、敵役とも言える軍人『ストリックランド』も汚れ仕事を長年請け負っているが、自身の考える恩恵を受けるには至っていないのだ。
誰も自身の思い描く理想の生活を送れているとは『言い難い』状況なのだ。
私たちも『全てに』おいて思い通りの『人生』を送れている人は『少ない』と思う、まぁ『人生』はいつまでも『不完全』なものだが、改めて『ギレルモ・デル・トロ』から再認識させられた気分になった。
生きていくのはキレイな事ばかりではない
映画の冒頭で主人公のイライザの映画館の上にあるアパートでの生活の一部が映されるのだが、
目覚まし時計を止めて、卵を茹でるタイマーをセットし、
バスタブで自慰行為にふける日々・・・・・・。
正直な感想として、『え!?』ってなる
映画で『女性』のそのような描写をしている映画をあまりみた記憶がないので、衝撃的なスタートだった。
だが『人間』が生きる上で『食』と『性』は切り離すことができないものだ。
人間は満たされようと『過食』になったり『依存症』になる事もある『弱い』存在なのだし、人が生きていく上では『当然』のことだ。
別の場面でも『イライザ』と同僚の『ゼルダ』がトイレ掃除しているシーンがあるのだが、男子トイレの使用状況が汚くて、何故に『こぼすのか?』と文句を言いながら掃除をしている。
僕としては何故に『トイレ』の清掃のシーン?と思えたが、人間は『排泄』をする生き物でキレイ事だけで生きている訳では無い。
イライザも生きていくために『清掃員』として汚い場所でも『清掃』をして『仕事』をするしかない。
生きていく事は『大変』なのだ・・そう言われている気がした。
本能だから仕方ない
本作の『問題』シーンと呼ばれる中に『彼』が猫を食べてしまうシーンがあります。これは研究所から『彼』を逃して、ジャイルズの部屋で匿っているときに起きてしまう事故です。ジャイルズが眠り込んでしまい『彼』への注意を怠ってしまいます。テレビに興味を示していると『猫』が『彼』を威嚇します・・・まぁ見た目的にもそうなりますよ・・・ジャイルズが目を覚まして居間に行くと『彼』が『猫』を頭から食べていました・・・
でもジャイルズはイライザに『本能だから仕方がない・・』と言い怒らないのです。
監督『ギレルモ・デル・トロ』の考えなのでしょうか?でも『猫』好きには許せないけどね・・・・
マイノリティに対しての差別を感じさせる描写
同じくアカデミー賞の作品賞を受賞した『グリーンブック』も黒人差別を描いた作品だったが本作も差別的な表現がある。
イライザの隣人であるゲイの『ジャイルズ』は『不味いパイ』を焼く、カフェの若い店員に好意を抱き何度も通っていたが、その若い店員は『黒人』が店に入ると『テイクアウト』しか認めず、店に座ることを許さなかった。
この時代における『差別』を描いている。
だが『差別』はその時代だからと言い切れるだろうか?
ダークファンタジーとして綺麗な出来映え
本作の主人公は『イライザ』だが、『彼』の存在抜きにはこの映画は存在しない。
ここで言う『彼』とは『半魚人』の事なのだが、姿は『気持ち悪く』映るはずなのに、『不快感』が無いのが驚きだ、見た目は人間とは違うが『美しい目』を持ち、体を覆うブルーのラインは熱帯魚の『ディスカス』を思わせる美しさだ。そして均整の取れたボディ・・その辺にいる太った中年親父よりもカッコイイ・・・
そして言葉を話す事はできないが、言葉や感情を理解しうる純粋な『心』を持つ『彼』に、女性ならずとも男性でも『好き』になる事だろう。
そして『彼』には特殊能力がある!人の傷や身体の衰えを癒す効果があるのだ、隣人のジャイルズはハゲているが、『彼』に頭を触れら『髪』が生えてきていたし、切り傷も触れられると癒えていた。アマゾンで『神』と崇められていたのもこの為かも?
映画の最初で、『イライザ』が『彼』に卵を与えたり、レコードを持ち込み一緒に聞くシーンは『デート』のようだし、『イライザ』は幸せそうだ・・後に『二人』は性的に結ばれるのだが『その事実』を知ったとしても『不快』にならないのが不思議だった。
まとめ
ダークファンタジーとして近年には記憶にない程の素晴らしい出来栄え
イライザの住む『アパート』の下が『映画館』なのが良い!映画の上に生活があるようで・・
R15に設定したために『モザイク』がかかり残念・・・・大した事ないのにと思う
良い映画はどこで『静止画』にしても『美しい絵画』にようになる!本作もそうだ!
ぜひ多くの人に見て欲しい『映画』だ!ただ万人ウケする映画ではないw
僕は本作を『U-NEXT』で鑑賞したのだが、いつでも観れるのは快適だった。おすすめ!