映画『ピア まちをつなぐもの』の感想と考察 




こんにちは、なおちぷです。

映画『ピア まちをつなぐもの』を観てきたので感想と考察を書いてみます。

最初に簡単なあらすじを書いてしまいますが、父親である開業医が病で倒れて、同じく医師である息子が『渋々』地元に帰り残された患者をサポートしていくうちに自身の医療の考え方や患者との向き合い方を考え成長していく物語です。

作品の中では、病気になり体の自由が利かなくなったり、回復の見込みが立たずに余命を宣告される患者もいます。

それぞれの人生の終わり方に最善の方法と価値を見出す手助けをする医療スタッフと家族の物語に胸を打たれます。

ハリウッド映画や話題作は広告も多く投入され観客動員数も伸びますが、本作にような作品も多くの方に観てもらいたいと思います。

きっと貴方も感じることはあると思います。

あらすじ

病気で倒れた父親の医院を継ぐために、大学病院を辞めざるを得なくなった若手医師の高橋雅人は
父の要望で渋々訪問診療も始めることになる。

しかし大学で先端医療の研究を志していた雅人にとって、地域の患者やその家族たちの医療には、なかなか関心を持てないでいた。

それに加えて医師としてのプライドもありケアマネジャー(佐藤夏海)や介護福祉士など他の職種との連携も積極的にとらずやがて地域医療の中で孤立していくようになる。

そんな中、訪問診療に行ったある患者家族との出会いによって、雅人の医師としての考え方が大きく変わっていくことになるのだった・・・。

感想と考察について

大学病院の華やかな医療現場から地元の訪問看護への葛藤

若手医師の高橋雅人は大学病院で『ヒトゲノム』の研究をする、エリート医師で未来は明るいのだったが、病で倒れた父親の医院を継ぐために『渋々』帰ってきた様な感じなのだ・・

自分に置き換えて考えても心情は理解できる。華やかな大学病院と古臭い地元の医院では『かっこよさ』や『やりがい』は違う様に感じることだろうなと、だが主人公の若手医師の高橋雅人が帰郷したのは『父親』を尊敬していて関係が良好だからだ。関係が悪化していたら当然ながら、帰って来ずに大学病院で働いていたことだろう。

だが、帰ってきた!そこに気持ちの『モヤモヤ』はあるだろうが『努力』をする気持ちはあるのである。

自身の医療スタイルの問題点と改善が必要!?

©2019『ピア』製作委員会

最初の訪問診療に行くと、その家が玄関先からゴミ袋が多く散らばり、散らかった高齢男性の家だった。正直なところ誰も進んでは訪問したくない印象だが、高橋医師は憮然(ぶぜん)とした表情で入っていく。そこには2人の女性もいて最初は家族と思っていたが、ケアマネージャーの佐藤夏海(松本若菜)と介護福祉士の斎藤加津代だった。

診察を開始しようと聴診器を胸に当てるも、高齢の男性は萎縮しているようだ・・

ケアマネージャーの佐藤夏海(松本若菜)は医師の高橋に『白衣』を脱ぐように言うが、高橋は『聞き入れない』

高齢の男性は『白衣』が怖いのだそうだ・・・・

『白衣』は『医師』の制服だと僕も思う。だが、『患者』に負担がかかるなら『脱ぐべき』とケアマネージャーの佐藤夏海は主張する!だが高橋は『聞き入れない』・・

それはなぜか?この時点で高橋は『医師』の方が『偉い』と考えているからだ。

医療の現場において医師の意見が尊重されそれをサポートするのがケアマネジャーであり介護福祉士なのだ!と若手医師の高橋雅人は考えているのである。

だが、ここで考えるべきは『患者』が『快適』に医療が受けれることであるはずだ!病院に行くことができない事情や体調が悪い患者の『要望』に応えるのが『訪問診療』のあるべき姿なはずだが、この時点での若手医師の高橋雅人は気が付いていない。

当然、ケアマネジャーの佐藤夏海(松本若菜)は反発し、前に訪問医療をしていた『父親』と比較されて『ダメ出し』を食らってしまう。連携すべき『医療スタッフ』とギクシャクしたスタートになってしまった。

医療における常識と患者の求める最適解は違う!

そして若手医師の高橋雅人の考えが変わる出来事が起こる!

ある『患者』の元に『訪問診療』に行き、患者の状態から『咀嚼(そしゃく)』することが難しく、このままでは栄養不足や介護の家族の負担が大きいと考えた若手医師の高橋雅人はその場で『胃瘻』と『介護施設』への入所を提案した。

だが、介護福祉士の話だと『犬』と一緒に暮らしたいとの『患者』の希望がるのだと言う・・・・

それを聞いた若手医師の高橋雅人は医師が『真剣』に考えて『提案』しているのだから、口を挟むな!と言う。

ここでも、『医師』の意見が正しく優先されるべきだとの考えが根底にあるのだ、だが、今まで『患者』と向き合い対応してきた介護福祉士の意見なのだから『想い』を受け止めるべき場面であった。

その後、その『患者』は『施設』に入れられることを避けようと『ベット』から『自立』を試みて『転倒』し太ももの付け根から腰にかけての部分を骨折してしまい『救急搬送』されてしまった。

若手医師の高橋雅人は『患者』が認知症の症状も出ており、胃瘻や介護施設入所の話を本人の前で話しても問題ないと考えていたようだが、実際は『患者』は自宅で『犬』と生活したいと考えており、会話が判断できていたのだ。

ここで考えるのは、若手医師の高橋雅人 の治療方針も決して間違っているもの訳ではない、栄養をとる上でも、介護する家族の負担を軽減するために『介護施設』に入所を勧めること一つの考えとして正しいのである。

だが、患者がそれを拒否し、その結果『転落』と『骨折』したことに若手医師の高橋雅人は大きなショックを受ける

ここが、医師としての考えが『変わる』ターニングポイントであった。

 

多くの医療スタッフとの出逢いと発見

この事件をきっかけに、若手医師の高橋雅人は訪問診療の勉強をしたいと、

ケアマネージャーの佐藤夏海に頼み込み、勉強会や異業種の医療関係者との交流で色々な治療アプローチがあることを学び感じていく。医療は『医師』が偉い訳でなく『治療スタッフ』は皆同等なのだと酒宴の席でケアマネージャーの佐藤夏海に言われて微笑む若手医師の高橋雅人は考え方が大きく変わっていた。

©2019『ピア』製作委員会

ガンの再発患者が自分らしく生きる事と医療にできること

訪問医療患者である藤本由紀子(水野真紀)の体に異変が起きた。乳がんで乳房全摘し抗がん剤治療中との事で、病気の事を心配する本人と家族であったが、若手医師の高橋雅人は抗がん剤の影響で体調が優れずに脱水症状になっていると判断しサポートしてきたが、咳が止まらなくなりレントゲンを撮ると『影』が・・・・

大きな病院で『検査』と『治療』をすることになり、懸命に『抗がん剤治療』をすることになる・・・

吐き気や脱毛症状に加えて、体力が消耗し痩せ細る藤本由紀子(水野真紀)の姿・・・

この辛そうな演技をする『水野真紀』は素晴らしい演技だった・・年頃の娘と夫を残して死ぬことはできないと懸命に辛い『抗がん剤治療』を耐えて続けている姿に涙なしでは見られない・・・・

そんな『抗がん剤治療』も効果が出ずに、『治療方法』も無く・・・

藤本由紀子(水野真紀)本人の希望で『自宅療養』することになり若手医師の高橋雅人と対応することになるのだが、藤本由紀子(水野真紀)の娘、波瑠(川床明日香)は現実を受け止めることが出来ず・・・・『患者』が自分らしく最後まで輝いて生きれるように若手医師の高橋雅人と医療スタッフがサポートし『家族の夢』を叶えようと・・

まとめ

  • それぞれの考える生き方や過ごし方を尊重できる医療が『最善の医療』だと思える。
  • 最初は医療の常識や『固定観念』に囚われていた青年医師の成長の物語
  • 最後はハッピーエンドとはいかないが、充実感があり悲壮感はないので安心して見られるよ
  • 公開されている劇場が少ないけどぜひ見て欲しい映画です。

 

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札幌在住。映画とマラソンと美味しい物や良い感じのお店が大好き!スタバ出現率高し!後悔しない生き方を模索の日々。。